あっ、そうですか。


旅先のとあるホテルにて。

深夜にチェックインしたときから違和感が漂っていた。
洗面所に限ってのことだか、微かな人の気配がする。
残り香が絡んだ残像のような感覚だ。

すっかり細く弱く、時に白くなった自分のものではない
太くしっかりとした、そして明らかに短いストレートだ。

おそらく30代の男性のものと思われる。
これが残像感の発信をするアンテナになっているらしい。

深夜のことだしやむなくベッドへ。
泣き寝入りではないが、気分の良いはずもない。
しかし、誰しも、ホテルのハウスキーパーでも、ゴールキーパーでも、
あとわずかなところで手が届かないことはある。

さほど感情は転がらない。


翌朝、シャワーを浴びようとしたときに衝撃波を食らった。
強烈なボレーシュート、いや歯ブラシである。

こいつが正体か。

画像の手前が備え付けの歯ブラシ。
未開封のバリバリにコシのある毛先。
多分そうだろう。

もちろん自前の同類を持参しているので、使わない。
では、奥のもう1本はどなたの持ち物だろうか?

チェックアウトの際、フロントで昨日のチェックインで
素早くキーを用意してくれたフロントマンの青年に画像を見せた。

クライアントに近いここはまた世話になりたい寝ぐらなのだ。
大事にしたい。

驚いたであろう青年は「あっ、そうですか」と不意を突かれた
声で言っては次の客のチェックアウトをまたも素早く処理し始めた。

深追いはしない。
この程度のスパイスがある方が、旅の臭みが解けて
ほどよい刺激になる。

また来るよ。

組織学習経営コンサルタント 池本克之の「今日も絶好調!」

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